東海野球傷害研究会

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昨日は、毎年恒例となりました第17回東海野球傷害研究会に行ってまいりました。
 今回は主に投球フォームにフォーカスされた内容でした。

 野球に限らずバドミントンのスマッシュやバレーボールのスパイクなどオーバーヘッドモーションを行うスポーツには肩・肘の障害が多く発生します。
そして、それらの原因には、例えば身体が固いなどといった身体機能の障害からくるものだけでなく、動作(フォーム)の不良なども大きく関係してくるといわれています。

 講演Ⅰの名古屋スポーツクリニックの杉本先生は、中日ドラゴンズの選手を主にプロ野球選手の肩・肘の手術を多く手がけられている先生です。

 不良投球フォームとしては

 ・後方重心
・インステップ
・肘下がり
・開きが早い
・突っ込み
・手投げ

 などが挙げられますが、はたしてこれらが全て悪い動作なのか?例えばインステップなどプロとしては、打ちづらくするために戦略的にとられることもある。
しかし、小学生などはやはり早めに基本的な投球動作は押さえておく(正しく指導する)べきとの姿勢でした。

 講演Ⅱのみどりクリニック瀬戸口芳正先生も、中日ドラゴンズの選手はもとより多くのプロ野球選手のコンディショニングを行い、現場に復帰させておられる先生です。

 提唱されるスローイングコンセプトは非常に理にかなっており、納得させられます。その内容も毎年グレードアップし、年々確立されてきているのが感じ取られます。数年後にはスポーツ医学のなかでスタンダードな概念になりそうな気がします。

 傷害を起こしにくいフォームとハイパフォーマンスを実現するフォームは一致し、下半身からの力を指先に伝える運動連鎖は釣竿にたとえられます。海釣りなどで遠くへルアーを飛ばす際、釣竿は大きくしなり、その反動で力強く投げられます。そのしなりの投球時の概念がTER(total external rotation)です。

 やや専門的になってしまいますが、
投球時にはこの釣竿のようなしなりが必要になってきます。しかしそれは肩関節(肩甲上腕関節:GH)のみで行われるものではありません。下肢・体幹・肩甲帯・肩甲上腕関節の運動の総和で得られるものであり、GHのみでは適切なTERが確保されません。それが投球時のダブルプレーンにつながり、肩関節の安定に寄与している関節上腕靭帯(GHL)のなかでも脆弱なMGHL(中関節上腕靭帯)が肩の制動をコントロールすることになり、傷害につながってしまいます。肩甲骨が上方回旋し、適切なTERがとれれば、スローイングプレーンはシングルプレーンとなり、強靭なIGHLで制動をコントロールでき肩関節は安定するということです。

 *言葉の定義
・スローイングプレーン : 元々は肩の権威、信原Drが提唱。その後、瀬戸口Drがshoulder plane(上腕の軌跡)とelbow plane(前腕の軌跡)に分類し提唱。
・シングルプレーン : TERが十分で、shoulder planeとelbow planeが一致しているもの。
・ダブルプレーン : TER不十分で、shoulder planeとelbow planeが別のplaneとなるもの。

(肩と肘のスポーツ障害、2012より)
 ビデオディスカッションにおいては、名古屋市立大学 整形外科 後藤英之先生による投球フォームへの実際のアプローチでした。1人の一般投手のフォームを対象とし、3施設の理学療法士の先生方がどのように考えてアプローチしていくのかデモンストレーションが行われました。今までにない試みで、新鮮で大変興味深く拝聴させていただくことができました。個人的には、このような試みに、もっと多くの時間をとっていただけるのも面白いかと感じました。

 講演Ⅲは同じく名古屋市立大学 リハビリテーション部 部長 和田郁雄先生の「足部のスポーツ障害」のお話でした。

 特に距骨下関節不安定症に対する知見は、とても興味深く拝聴させていただきました。

(懇親会にて杉本先生と)

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