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肩の障害

野球肩とは

野球によって起こる肩への故障を総称して“野球肩”と言います。

野球肩には,筋肉・靭帯の炎症,関節内の損傷,骨の損傷,変形などさまざまな病変があり,これらの病変は単独で起こる場合だけでなく,重複して起こる場合もあります。

主な病態としては,棘上筋腱の損傷が代表的である腱板の損傷やインピンジメント(衝突)による肩峰下滑液包炎,スラップリージョンと呼ばれる関節唇損傷が挙げられます。

治療・リハビリ

治療は基本的には保存療法が主体となり,各種物理療法等により損傷部の修復・回復を促し,損傷部の修復後は競技復帰に向けてのインナリング(インナーマッスルのトレーニング)を主体としたリハビリが行われます。

肩の関節は骨性支持が少なく,筋・腱・靭帯といった軟部組織に多くを依存している為,一朝一夕に改善がみられるわけではなく,根気と粘り強いリハビリが非常に重要となってきます。

投球フォームの改善

近年,日本でもピッチャーの肩は消耗品という認識も広がり,先発完投というよりもスターター(先発)・セットアッパー(中継ぎ)・クローザー(抑え)といった分業制といった考え方が主流になっています。

そんな中,投球過多もさることながら,投球フォームによる障害のウエイトも多く占められると思われ,バイオメカニクス的観点からの合理的投球フォームの研究や脚~股関節~体幹~肩といったキネマティックチェーン(運動連鎖)の破綻によるものが注目され,ただ単にゼロポジションで投げろというのではなく,各人の個性を重視しながら肩に負担がかかり辛くなる合理的な運動連鎖による投球を追求しないといけないでしょう。

肩の障害
上腕骨近位骨端線離開

肩甲上腕関節を構成する上腕骨の骨端線(成長線)が離開(離れてしまうこと)する障害です。

10~15歳の成長期では,骨の成長がまだ終わっていない為,程度をこえた投げ込みなどによって発生します。

投球後に痛みが残る場合があり,「リトルリーグショルダー」とも呼ばれます。

肩峰下インピンジメント症候群

肩峰の下面と腱板の間で,肩甲骨が上方へ上がる動きや肩甲上腕関節で上腕骨の軸を中心にした回転運動による衝突(インピンジメント)によって発生する障害です。

症状がひどくなると腱板炎,腱板断裂といった悪い段階へ移っていきます。

肩関節が緩くても肩甲骨の周りの筋肉が硬い場合でも,肩峰下インピンジメントを生じやすくなります。

したがって肩甲骨周囲筋の柔軟性はとくに重要です。

腱板損傷

肩関節と腱板(とくに棘上筋,棘下筋)が上方で衝突することで生じる障害です。

程度をこえた投げ込みなどによる投球動作の繰り返しによって発生します。

スラップ病変

関節唇の前上方に生じる障害で関節唇周辺に引っ張られる力と上腕二頭筋長頭腱に交差する力が加わることで生じる障害です。

投手によく発生しますが,なかでも全力投球タイプの投手に多く見られます。

ベネット骨棘

程度をこえた投球動作の繰り返しによって上腕三頭筋長頭腱に張力が働き肩関節後方の関節包や関節唇に引っ張られる力が働いて骨が変形してしまう障害です。

この骨の変形(骨棘形成)が投球障害の原因になります。

肩甲上神経障害

肩甲上神経が絞扼(締め付けられること)される障害です。

神経が締め付けられる為,痛み,シビレ感があるまま,投球を続けると棘上筋,棘下筋に麻痺が生じることがあります。

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