腰痛と筋発火

執筆者:院長 山本幸治

カテゴリ: 腰痛

執筆者 山本幸治

 

 腰痛の方に見られる所見に特定の筋の萎縮や不活性があります1)2)

 


 良く知られているところでは多裂筋の萎縮や不活性です(腰痛の原因の一つに”多裂筋”)。その他にも腹横筋の萎縮や不活性、発火タイミングの遅延があります3)4)

 また逆に腹直筋や外腹斜筋の過活動も報告されています4)5)

 

 

 多裂筋や腹横筋は横隔膜や骨盤底筋群、内腹斜筋なども含めフィードフォワード筋とも呼ばれています。

 フィードフォワードとは、ある動作や行為を行おうとした際、事前に予期し行動することを指します。

 


 すなわち、物を取ろうと体を屈めようとしたとき、手足が動くよりも一瞬先にこのフィードフォワード筋が活性します。
 それにより腹腔内圧(IAP)が高まり体幹が安定した状態で物を取ることができるわけです。

 


 しかし腰痛の患者さんはこのフィードフォワード機能が働かない、もしくは遅延するといわれています。

そうすると不安定な状態で物を持つことが強いられ腰部に負担が掛かり障害を起こすわけです。

 


 そしてその腰部への負担の繰り返しが椎間板を摩耗させ、腰椎椎間板ヘルニアを惹起したり、椎間孔を狭くし坐骨神経痛を誘発したりするわけです。

 


 Cholewickiらが行った面白い研究があります6)7)8)

 

1. 半坐位の状態の被検者が後方からケーブルで引っ張られます。
2. そうするとバランスを取るために前方の腹筋群が活性し働き抵抗します。
3. 次にケーブルが突然リリースされます。
4. 体が前方へ振られるのを背筋が発火し拮抗し制御します。

 

腰痛

 

 これが腰痛持ちの患者さんでは背筋の発火が著しく遅かったと報告されています。

 また同時に腹筋の発火停止も遅かったとされています。

 

 

 腰痛だから発火遅延があるのか、発火遅延があるから腰痛となるのかは議論の余地があるところですが、いずれにしても筋の協調不全は明確です。

 

 

 当院でも表面筋電計やエコーを用いて筋収縮不全を評価し、エクササイズによりその正常化を試みています。

 

 

 

 

 術者はエコーで腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋の収縮動態やフィードフォワードを確認。表面筋電計で多裂筋の筋活動をモニター。

 患者さんもエコー画像をモニターすることによってバイオフィードバックがなされ筋収縮をイメージすることができます。

 

 

 

体幹トレーニング

(エクササイズ一例)

 

 


【参考文献】

1)Fortin M, Rizk A, Frenette S, Boily M, Rivaz H. Ultrasonography of multifidus muscle morphology and function in ice hockey players with and without low back pain. Phys Ther Sport. 2019;37:77-85. doi: 10.1016/j.ptsp.2019.03.004.

2)Yang HS. Difference of the thickness and activation of trunk muscles during static stoop lift at different loads between subjects with and without low back pain. J Back Musculoskelet Rehabil. 2018;31(3):481-488. doi: 10.3233/BMR-17093.

3)Suehiro T, Ishida H, Kobara K, Osaka H, Watanabe S. Altered trunk muscle recruitment patterns during lifting in individuals in remission from recurrent low back pain. J Electromyogr Kinesiol.2018;39:128-133.doi:10.1016/j.jelekin.2018.02.008.

4)Ehsani F, Arab AM, Jaberzadeh S, Salavati M. Ultrasound measurement of deep and superficial abdominal muscles thickness during standing postural tasks in participants with and without chronic low back pain. Man Ther. 2016;23:98-105. doi: 10.1016/j.math.2016.01.003.

5)Arab AM, Shanbehzadeh S, Rasouli O, Amiri M, Ehsani F. Automatic activity of deep and superficial abdominal muscles during stable and unstable sitting positions in individuals with chronic low back pain. J Bodyw Mov Ther. 2018;22(3):627-631. doi: 10.1016/j.jbmt.2017.10.009.

6)  Cholewicki J, Greene HS, Polzhofer GK, Galloway MT, Shah RA, Radebold A. Neuromuscular function in athletes following recovery from a recent acute low back injury. J Orthop Sports Phys Ther. 2002;32(11):568-575.

7)Radebold A, Cholewicki J, Panjabi MM, Patel TC. Muscle response pattern to sudden trunk loading in healthy individuals and in patients with chronic low back pain. Spine. 2000;25(8):947-954.

8)Cholewicki J, Silfies SP, Shah RA, et al. Delayed trunk muscle reflex responses increase the risk of low back injuries. Spine. 2005;30(23):2614-2620.

 

 


 

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