腰椎分離症と当院のアプローチ

執筆者: 門野隆顕

カテゴリ: 腰椎分離症

 

当院には野球やテニス、バスケットボールやゴルフなど様々な競技を行っている選手や学生に来院していただいておりますが、腰部の痛みを訴えて来院される方が多くいます。

 

腰部痛を考える上でどんな姿勢やどのような動きで痛みが出るのか、また年齢がいくつであるかによって考えられる疾患が変わります。

 

今回は、そのなかでも子供にとって特に注意が必要な腰椎分離症について紹介したいと思います。

 

成長期の子どもが腰痛を訴えた場合、かなりの確率で腰椎分離症、もしくは腰椎分離症の前段階である腰椎椎弓の疲労骨折を起こしているといわれています。

 

腰椎分離症は早期発見がとても大切なので、子供の腰痛を軽く考えずに早めに診察を受けて治療を開始することをお勧めします。

 

 

【腰椎分離症とは】

腰椎分離症(ようついぶんりしょう)(以下分離症)は、椎弓(ついきゅう)と呼ばれる腰椎の後方部分が折れて分離した状態のことを指します。

「椎弓」はリング状の構造をしており、そのリングの斜め後方は細く弱い部分で、背中をそらせて捻る動作やジャンプからの着地のような動作で大きな力がかかります。

 

そのような動作を繰り返すことによって骨にヒビ(疲労骨折)が入り、さらに圧力が加わることで骨折(分離)を起こします。ほとんどの分離症は圧力のかかりやすい第5腰椎に起こります。

 

 

 

腰椎分離症

 

 

 

骨の連続性が保たれている疲労骨折状態で気付くことが出来れば、休養することで骨癒合が見込めますが、完全に分離してしまうと癒合する可能性は低くなってしまうため早期発見と治療が重要となります。

 

また両側(左右)の分離症の場合は、将来的に腰椎すべり症に移行しやすく腰椎椎間板ヘルニアになる可能性も高まるため更に注意が必要です。

 

成長期は骨の構造が弱いため、 スポーツを行っている小学生~高校生に発症することが多く、特定方向への動作を繰り返すスポーツ(野球・サッカー・バレー、テニス、バスケットなど)で、 発症しやすいとされており、腰痛を訴える一般人の約5%、スポーツ選手では30~40%が分離症を起こしているとも言われています。

 

すべての人が分離症になるわけではなく、先天的な遺伝によって腰椎が弱く、スポーツと関係なく分離症を生じる場合もあります。

 

体質的な要因や痛みの程度も様々であり、経過を追って観察することが重要です。

 

 

 

【症状】

腰椎分離症の症状は背中を反らす動作で腰痛を訴える事が多く、腰痛が 2週間以上続く場合は腰椎椎弓疲労骨折や分離症を疑う必要があります。(まれに前かがみでも痛みが出現することもあります)

 

また練習や試合中に痛みが出る場合や、長距離走などで痛みが出る場合も分離症のサインです。

狭い範囲にズキッと響く痛みや叩打痛、圧痛、痺れなどを認める場合があります。


 

多くは骨が未発達な成長期の小学生~高校生(特に中学生頃)に起こります。

 

遺伝により元々腰椎が弱い場合もありますが、多くは腰を反らす動作やジャンプ、体を捻る動作を繰り返し行うスポーツで、脆弱部である腰椎の後方部分に亀裂が入り分離症となります。

 

野球、サッカー、バレーボール、テニス、バスケットボール、ラグビー、柔道などの競技はジャンプからの着地、特定の同一方向への身体の捻りといった動作を繰り返すスポーツの過度な練習が原因となるケースが多いとされています。
 

そして身体の使い方に問題がある場合も多く、分離症になった人の特徴として股関節や胸椎が硬いまま長時間練習や試合を続けておこなったといった特徴があります。

 

腰は本来動きの少ない関節ですが、腰の上下の関節である股関節や胸椎の可動域が狭いために腰がその代償運動を行い、その蓄積によって疲労骨折や分離症となります。

 

 

腰椎分離症

 

 

【原因】

スポーツを続けるためには体の柔軟性を獲得し、腰に負担がかからない動きを習得することが重要です。

 

そして練習やトレーニング時間が長く、休養できないことも原因の一つになります。

 

体を回復(修復)させる時間が短ければダメージが蓄積され、いずれケガとなって現れます。

 

 

 

JOINT BY JOINT theory

腰椎分離症

 

 

関節は動きの大きい関節(Mobility)と動きの小さい関節(Stability)が交互になっており、腰はStability、つまり動きの少ない関節となります。

 

腰を挟んでいる胸椎と股関節はMobility、動きの大きい関節となります。

 

このMobility関節である胸椎と股関節の可動域が制限されるとStability関節である腰椎が動かざるを得ない状況となり、その負担の蓄積が分離症となって現れます。

 

腰の障害を改善するためには胸椎や股関節の可動域を確保する必要があり、この可動域が改善されないまま復帰しても再発する可能性が高くなります。

 

 

【判断基準】

まず始めに理学所見として、身体を反る・捻る際の痛みや腰椎の棘突起を押した時の痛みなどを検査します。

 

 

腰椎分離症

 

 

痛みが強く出る場合や2週間以上痛みが続いている場合は専門医を紹介し、腰椎分離症の診断に必要な画像検査(レントゲン、 MRI、 CT)をしていただくことを勧めています。

分離症を早期発見するためには、レントゲンで特に異常なしと言われた場合でも、より精査する必要があります。

 

身体所見などから腰椎分離症の疑いがあるが、レントゲンで分離がはっきりしない際にはMRIが必須です

MRIでは椎弓の骨髄浮腫を確認し初期分離症(疲労骨折)の診断が行われます。

 

MRIの中でも初期の腰椎分離症を発見するにはSTIRという撮影法が重要です。

 

分離しているところ(椎弓根)の内出血や骨の浮腫などを捉えることができ、早期発見・早期治療を行うことができます。

 

進行度合い(病期)や分離部の骨癒合の経過を判断する目的にはCT検査が有用です。

 

 

腰椎分離症

(Alqarni. Physical Therapy in Sport. 2014 1.Clinical tests to diagnose lumbar spondylolysis and spondylolisthesis: A systematic review)

 

 

腰椎分離症の病期は、椎弓にひびが入った状態の初期、分離が進んでいく進行期、完全に分離した終末期(偽関節型)という3段階に分類できます。

 

終末期まで進行している場合は骨癒合をほとんど望めません。

 

 

 ※片側分離の場合の目安期間

 

  初期 進行期 終末期
癒合期間 2~3か月 4~6か月 1年
癒合割合 80~90% 50~60% 0~20%

 

 

 

【治療法】

分離部の骨が癒合(骨がくっつくこと)する事を治療の第一目標とします。

 

骨癒合が望める初期、進行期の場合は負担をかけないように生活指導を行い、腰部を動かさないよう注意しながら治療と運動療法を行います。

 

当院ではハイボルテージ治療や超音波治療などを行い、疼痛コントロールとともに癒合しやすくなるよう治療します。

超音波治療のなかでもLIPUS(低出力パルス超音波)は、骨折の早期癒合にエビデンスがあります。

 

痛みが消退してきたら運動療法をおこないます。

運動療法は胸椎、股関節を中心に体の可動域が狭い場所のストレッチや体幹部のトレーニング、動作のエラーも同時に改善します。

 

また家でもストレッチしていただくよう動画を送り、復習できるようにしています。家でもケアすることで復帰が早くなります。

 

当院では学生も多く、試合が近い場合やどうしても出たい試合が間近にあるなど、どうしても競技をしなければならない場合があります。

 

痛みやケガの状況を把握し、最大限選手の希望を聞きながら様々な治療プランを提案して

‘‘その時の最良の選択‘‘ができるようお手伝いします。

 

腰部痛や分離症でお困りの方は当院に一度ご相談ください。

 

 

 

 

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