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四十肩、五十肩の夜間痛の理由と対策

カテゴリ: 四十肩・五十肩

執筆者 門野隆顕

 

 

 四十肩、五十肩の代表的な症状の一つに夜間痛があります。

 多くの患者さんが訴える症状で、痛みで夜中に目が覚めてしまう、横になってすぐ痛みが強くなり寝られないなどの話もよく聞きます。

 

 

 しかし、なぜ寝ている間は肩を動かしていないにも関わらず痛みが強くなるか不思議に思ったことはありませんか?

 今回はその理由と痛みを軽減させる方法をお伝えします。

 

 

 

 

そもそも寝られないとどんな影響がある?

 

 四十肩、五十肩の特徴的な症状のひとつに夜間痛があると言いましたが、そもそも寝られないことは痛みが強くなることにつながるのか?という疑問があると思います。

 これは寝られないことにより交感神経が優位となります。

 

 

 交感神経が優位になると体が緊張した状態になり、血管や筋肉が緊張して血行が悪い状態になってしまい痛みが増します。

 

 

 せっかく体を休める時間なのに痛みで睡眠不足になり、交感神経が優位となることで痛みがさらに強くなるという悪いサイクルになってしまうため、睡眠は必要ということです。

 

 

 

 

【なぜ安静にしているのに痛くなるの?】

 

 炎症が起きている肩を上に挙げたり、動かせば痛くなるのは当然ですが、安静にして寝ているのに痛みが強くなるのはなぜでしょうか?

 

 

 これは肩の内圧の上昇が関係しています。

 

 

四十肩五十肩

 

 

 このように仰向けで寝ると肘が下がり、肩は上に突きあげられるような方向に力がかかります。

 そうすると肩の圧力が高くなり、ストレスとなって痛みが強くなるということです。

 

 

 また山本ら(2003)による患側下側臥位、仰臥位、立位で肩峰下関節包圧を計測したデータ(山本宣幸ほか:腱板断裂患者の夜間痛について−アンケート調査ならびに肩峰下滑液包の圧測定−:肩関節,27巻 第2巻,259−262,2003)によると

 

・第一位 患側下側臥位

・第二位 仰臥位

・第三位 立位

 

でした。

 

 

 第一位の患側下側臥位は痛い方を下にして寝るということであり、この姿勢が痛いのは理解できると思います。

 しかしその次に痛くなる姿勢が仰臥位、つまり仰向けで寝る姿勢となっています。

 

 

 いかに寝るときの姿勢や肩のポジションを正しくし、肩の圧力を下げられるかが重要ということです。

 

 

 

 

『寝るときのポジション』

 

 

四十肩五十肩

 

 

四十肩五十肩

 

 

・肩より肘が高くなっていること

・少し脇の空間をあけること

・手はお腹の上に置かずクッションなどの上に置くこと

 

 

 このポジションを取ることで肩の内圧が上がることを防ぎ、睡眠がとりやすくなります。

 

 

 写真を参考に寝るときの腕のポジションに気を付けてくださいね。

 

 

 

 

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四十肩、五十肩の炎症期にやるべきこと

カテゴリ: 四十肩・五十肩

                執筆者 門野 隆顕 

 

 

エコー

 前回は画像診断装置の発達により今までわからなかった肩の痛みを烏口突起炎、上腕二頭筋長頭腱炎、肩峰下滑液包炎、腱板炎、石灰沈着性腱板炎など様々な病態に分けて診断できるようになってきたと説明しました。

 

 

 しかし、それでもなおはっきりとした原因が分からない四十肩、五十肩に悩む人が多くいます。

 

 

 ほとんどの四十肩、五十肩は炎症期→拘縮期→回復期といった経過を辿り治癒に向かいますが、今回は「炎症期」にやるべきことを説明します。

 

 

 

 

炎症期に何をすればいい?

 

 肩の痛みで悩んでいると動かしたほうがいいと言われたり、動かさないほうがいいと言われたり…どうしていいのかわからないという声をよく耳にします。

 

 

 これは病期によって対処法が異なるためであり、状況によりやるべきことが変わるからです。

 

 

 炎症期のほとんどの方が口にされるのが

・少し動かそうとしただけでも強い痛みがある…

・寝ようとしても痛みが強くて寝れない…

・洗濯物が干せない、高い場所のものが取れない、下着をつけられないなど日常生活で不自由なことが多く、ストレスがたまる…

など

 

 

 普段は何でもないようなちょっとしたことでも強い痛みが出ると、ストレスから心の余裕もなくなってしまいますよね。

 

 

 しかし、何もしないより少しでも動かすほうが改善が早くなったり、痛みをコントロールできるということがわかっています。

 

 

 

 

炎症期に推奨されていること

 

 患者さん自身が肩の状況と痛みを正しく理解すること、そして痛みを伴わない範囲での関節可動域練習や運動療法、家でのセルフケアが効果的と言われています。

 

 

 何もわからないままだといつ痛みが消えるのか先が見えず、不安ばかりが大きくなることもありますよね。

 

 

 大切なことは現在の状況を理解して、今後どのように痛みが変化するのか知ること。そして治療とともにできる範囲の運動やストレッチを行うことです。

 

 

 

 

痛みが強すぎて何もできないという方

 

 肩の痛みが長く続いている方は神経が敏感になることで、わずかな刺激も激痛に感じてしまう状態になっている可能性があります。これを末梢性・中枢性神経感作*といいます。

 

(*中枢性感作とは、脳や末梢神経が痛みに敏感になっている状態。つまり通常では痛みを感じないような僅かな刺激でも痛みを感じてしまう状態。)

 

 

 このような状態の方は関節を動かすなんて考えられないと思うかもしれませんが、こんな場合でも運動療法、全身運動が効果的である(EIH)と多く報告されています。

 

 

※Exercise-induced-hypoalgesia(EIH)

“運動中または運動後に侵害刺激に対する痛覚閾値・耐性値の増加、または痛覚強度の減少を特徴とし、痛覚感受性が減弱する現象”

(松原貴子:EIHについて:ペインリハビリテーションの観点から.ペインクリニック 38 : 601-608,2017.)

(松原貴子: 運動による疼痛抑制の神経メカニズム.ペインクリニック 35 : 16555-1661,2014.)

 

 

 またEIHに関して

罹患部と離れた遠隔部での運動においても罹患部の痛覚感受性を低下させることも知られています。

 

 

 具体的な運動療法としては、肩関節を動かさずに肩の近くの肘や肩甲骨、胸椎から動かし始めます。

 

 

 肩関節を無理に動かしてしまうと炎症が強くなり、更に神経も過敏になってしまうため必要以上に焦らず状況を見ながら運動療法を行うのです。

 

 

 更に、肩周囲から遠く離れた場所の運動でも痛覚感受性を低下させることも報告されているため、肩が動かせないような強い炎症期でもウォーキングやエアロバイクなど、患部に影響の少ない場所の運動を行うことで痛みを軽減できる効果があると考えられます。

 

 

エコー

 

 

 未だに著効を示す治療法はありませんが今回紹介した方法で痛みを理解してコントロールし、根気よく治療していくことが今できる最善の方法と考えています。

                 

                                                                                     

 当院では超音波エコーで肩の状態を確認し、手技療法や運動療法に加え、電療、超音波治療、体外衝撃波などを状況に合わせて行い、多角的にアプローチしています。肩の痛みでお悩みの方は一度ご相談ください。

 

 

エコー

エコー

 

 

 最後に家でできるストレッチをご紹介します。無理のない程度にやってみて下さいね。

 

 

 

 

 四つ這いで手を床につけ肩を安定させます。

 

 

 手と膝を床につけたまま体を少しずつ前後させ、肩をゆっくり動かすようにします。(可能ならハイハイもおすすめです)

 

エコー

エコー

 

 

 無理に大きく動かさず、痛みの出ない範囲で動いてみてください。

 

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外側型野球肘(離断性骨軟骨炎 OCD) Panner病

カテゴリ: 野球肩 野球肘

執筆者  山本幸治

 

 

 前回まで内側型野球肘の主要な病態をお伝えしましたので、今回は外側型野球肘について。

 

 

 外側型野球肘というのは、すなわち離断性骨軟骨炎(osteochondritis dissecans、以下OCD)のことになります。

 

 

エコー

 

 

 

 OCDは何らかの理由で軟骨下骨への栄養供給が損なわれ、細胞が壊死したものです。
すなわち骨が壊死していくわけですから、事は重大です。壊死をすることによって最終的には母床から剥がれてしまいます。その剥がれて関節内に落下してしまったものが関節遊離体(いわゆる関節ネズミ)になり、疼痛や機能障害を起こすわけです。最終的には手術をしなくてはならなくなってしまうことも多く、選手生命に関わってくる病気です。

 

 

 野球肘に代表されますが、肘だけに限らず、膝、足首など他の部位にも好発します。
また野球選手だけに限らず、腕をよく使う器械体操やテニス選手などにも多く発生します。

 


 物理的な繰り返される圧縮力(圧迫力)によって引き起こされるとされ、野球肘におけるOCDの場合、“野球肘の成れの果て”なんて表現もされたりしますが、実はOCDの発生は圧縮力の加わるスポーツ選手だけに限った話ではなく、だれにでも起こりうるといわれています。

 

 

 野球であれば投球制限をしても、無理のかからない投球フォームを指導し取得しても発生するときは発生するのです。すなわち発症自体は遺伝的に一種の病気として発生しており、野球選手など腕を多く使うスポーツ選手は繰り返されるストレスによって悪化していくから問題になっているわけです。

 


 OCDは統計的には100人に1~2人(約2%)程度と言われています。
 柏口ら*の少年サッカー選手の肘を調べた研究では、OCDが同様に2%程度見つかったと報告しています。
しかしサッカー選手の場合は、その後、腕を多用するわけではないので、自然と緩解し気が付かないうちに治癒に至り問題にならないわけです。
ですからOCDの一番の治療法は安静(投球中止)ということになるわけです。

 


 またOCDは一種の病気として何の前触れもなく発生するので、検査で早期発見し早期に対応していくことが重要なのです。OCD初期の発見には超音波エコーがレントゲンよりも鋭敏であり、有効であることが分かっています。

 

 

エコー

 

 

 また前述の柏口医師は、今までOCDとされてたものに軟骨下骨折も多く混じっており、病態の違いをしっかりと把握することの必要性も説いておられます。

 

 

 当院でも一か月前に観察したときには何ともなかった子が、一か月後にエコーで遊離体が確認されたなんて子もいました。通常OCDは一か月で遊離するなんてことは考え難く、対診先の整形外科ドクターからも上腕骨小頭の軟骨下骨折との判断をいただいたこともあります。 

 

 

 すなわちこれは障害ではなく外傷になるわけで、治療方針に少なからず違いが出てきます。上腕骨小頭部の障害は全てが全てOCDというわけでもないということですね。

 

 

 また同様に上腕骨小頭部の障害を呈する病気には、Panner病といったものもあります。

 Panner病も上腕骨小頭の無腐性壊死になりますが

、基本的には予後良好です。しかしOCDよりも好発年齢がやや低いことが特徴くらいで、その鑑別は難しいことも多く注意が必要になります。

 

 

 いずれにしてもOCDとは治療方針も異なってまいり的確に状況を把握することが大切になってきます。

 


*柏口新二:少年サッカー選手における離断性骨軟骨炎発生率の調査
(平成22年9月日本整形外科スポーツ医学会)

 

 

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四十肩、五十肩って結局なに?

カテゴリ: 四十肩・五十肩

執筆者  門野隆顕

 

 

四十肩、五十肩で悩んでいる方は多いと思います。この世代に発症することが多く、どちらも違いはありません。

 

 

また肩関節周囲炎といった呼び方をすることもありますが、あまりピンと来ないので四十肩、五十肩で浸透していますよね。

 

 

そして驚くことに、江戸時代からあるのだとか…

別名“長命病”とも言われていたそうです。

 

エコー

(https://www.canva.com/photos/MADarPOGgHA-shoulder-pain/)

 

 

当院でも肩の痛みを抱えてご来院される方が多くみえ、軽度な痛みから強い夜間痛、肩を後ろに回したり、全く動かせないような激痛まで程度は様々です。

 

 

定義としては

 

 

なにかしらの関節内炎症によって肩関節に強い痛みを生じ,次第に肩関節の可動域制限が生じていく後に,疾痛が軽減して拘縮だけが残り,そして拘縮も経過とともに改善していく

 

(出典:村木孝行. (2016). 肩関節周囲炎 理学療法診療ガイドライン. 理学療法学, 43(1), 67–72.)

 

 

 

 

しかし四十肩、五十肩って何を指しているのかわからないという方も多いのではないでしょうか?

 

 

骨・軟骨・靭帯・腱・滑液包や関節包などが老化して、肩の周囲の組織に炎症が起こることが原因と考えられていますが、現在もはっきりとした原因はわからないとされています。

 

 

しかし、画像診断が進歩したことで少しずつ痛みの原因が分かってきた部分もあります。

 

 

MRI・CT・超音波エコーを使い組織の異常を把握できるようになってきました。

 

エコー

(MRI Shoulder joint Magnetic resonance imaging (MRI) - Canva)

 

 

エコー

 

 

例えば

・烏口突起炎

・上腕二頭筋長頭腱炎

・肩峰下滑液包炎

・腱板炎

・石灰沈着性腱板炎

・肩関節拘縮

など

 

 

いままでは詳しく診断できなかったため、ざっくりとこの年代で肩の痛みは四十肩、五十肩だろうとされていましたが、いまではこのような細かい診断名が付くこともあります。

 

 

四十肩、五十肩の痛みの経過は大体決まっており、ほとんどがこのような経過を辿ります。

 

 

凍結進行期(freezing phase)→凍結期(frozen phase)→解凍期(thawing phase)

 

 

そして平均して1~2年で治るとされています。

 

 

 

 

つまり一人一人の肩の症状や痛みの状況によって、その時にやるべきことと避けるべきことが変わり、病期にあわせた治療や運動療法が必要となります。

 

次回は痛みの段階によりどんなことをすべきかを書こうと思います。

 

 

 

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なんでも筋肉の炎症⁉ 野球肘 高校生~大人編

カテゴリ: 野球肩 野球肘

執筆者  山本幸治

 

「なんでも筋肉の炎症!? 野球肘 小学生編 中学生編」に続き高校生~大人編です。

 


 個人差はありますが、高校生になると骨端線(成長線)も閉鎖してきて、ほぼ大人の骨になってきます。そうすると再脆弱部位は「骨」ではなくて筋肉や靱帯などの軟部組織になってきます。
 野球選手の肘の手術といえばトミージョン手術が有名ですが、その手術は肘内側側副靱帯の再建手術であり、この頃から内側側副靱帯の問題が出現してきます。

 

 

野球肘

(図1)

 

 

 上図1が内側側副靱帯です。内側側副靱帯は3本の線維から構成されています(図2)。

 

 

野球肘

(図2)

 

 

野球肘

(図3)

 


 その内側側副靱帯の3本の線維のうち、一番損傷を受けやすいのは図3(黄色)の前斜走線維です。小中高と投手をしてきて、たくさん投げている選手は完全断裂してないまでも、この部位が損傷を起こし腫れてきている選手は多くみかけます。
 アメリカスポーツ医学研究所(ASMI)も「若年時からの蓄積によって故障は引き起こされる」という見解を示しています。

 

 

 図4は内側側副靱帯損傷のエコー画像です。右の健常側に比べ腫れているのがお分かりになるでしょうか?

 

野球肘

(図4)

 

 

野球肘

(図5)

 

 

 

 ドップラーをかけると炎症反応があるのも分かります(図6)。

野球肘

(図6)

 

 

 このように前斜走線維が損傷し、腫れてきていても投げて投げれないことはありません。が、段々と痛みは強くなりそのうちに投げれなくなってきてしまいます。

 

 

 若年時からの蓄積とはどういうことか?
 小・中学生時代は最脆弱部位は骨であり、多くの小・中学生は骨が悪くなると以前申し上げました。大人になるにつれ骨は丈夫になり、骨の障害は消失し治ります。しかしその骨の障害の程度が悪いと骨の変形を残します。

 


 図7、8も内側上顆のエコー画像ですが、右の健側に比し左の患側の内側上顆下端部の骨の形が違うのがお分かりになるでしょうか?

 

 

野球肘

(図7)

 

 

野球肘

(図8)

 

 

 小・中学生時代の内側骨端核の剥離骨折や分離分節化の治癒後このような変形が残存します。その結果、骨の形の変化(骨端が間延びする)が生じることにより内側側副靱帯の前斜走線維のテンション(張力)に違いが生じます。

 

 

 靱帯は骨に付着する際、その付着部への距離が違ってきてしまうため、患側は“たわんだ靱帯”状態になってしまいます。靱帯が正常に機能するためには一定のテンションが必要です。たわんだ状態が容易に損傷しやすいのは想像に難くないでしょう(図9)。

 

野球肘

(図9)

 

 


 だから大人になってから靱帯が悪くなってくるのです。若年時に無理をしない!のはこういった理由によります。そうそう気軽に手術を受ければ良いというわけではありません。

 


 アメリカでは一時トミージョンをおこなえば球速が上がるとして、無損傷でも高校生が靱帯再建手術を受けていたこともあるようです。しかし現在ではそれ(球速が上がる)は、同じくASMIによってむしろ球速は低下したとして否定されています。

 


 手術後の一部の選手が球速が増した理由は、手術によるものではなくリハビリによって下半身が強化されたり、投球フォームが改善されたことによるとされています。やはり体にメスをいれるということは最終手段にしたいものです。

 

 

 悪くさせないことが一番良いことではありますが、それでも悪くなってしまった場合、当院では体外衝撃波やLIPUS(低出力パルス超音波)を利用しながら徒手療法をおこなっていきます。

 

 

体外衝撃波

 

 


 また、なぜ靱帯がダメージを受けるに至ったか、若年時の無理以外にも、体の柔軟性や使い方、投球フォームや運動連鎖の問題があることも多く、大局的な視野を持ち治療していくことが大切になってきます。

 

 

 

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ジョーンズ(Jones)骨折治療と当院のアプローチ 難治性骨折を防ぐためには

カテゴリ: ジョーンズ骨折

執筆者  門野隆顕

 

『ジョーンズ骨折』

 

 

 

 あまり聞かない骨折名かもしれませんが、スポーツ選手に起こりやすいケガの一つにジョーンズ骨折があります。

 

 

ジョーンズ骨折は、足の甲の小指側(第五中足骨の基部)に繰り返し力がかかり、ダメージが蓄積されることで疲労骨折が起こります。

 

 

また捻挫のように足首を捻った際にも起こるケガです。

 

 

ジョーンズ骨折

 

 

 

 特にサッカー選手に多いケガで最初は捻挫しただけと思って放置していたが、内出血や腫れが引かず病院でレントゲンを撮ってみたら骨折していたというのはよく聞く話です。

ジョーンズ骨折は骨折した場所や程度、最初の処置が遅れた場合などは手術となる場合もあるため、完全に骨折する前の疲労骨折状態で発見することがとても大切になります。  

 

 

 また体が硬い選手(特に股関節の内旋)はジョーンズ骨折のリスクが高くなることや、足に合っていないシューズを着用している選手(Bladeタイプのスパイク)、グランドが人工芝の場合などはジョーンズ骨折のリスクが上がるというデータもあります。⁽¹⁾

 

 

ジョーンズ骨折

 

 

 骨折が起こる前に防ぐことが可能な場合もあるため、股関節の柔軟性の確保や超音波エコーで足の状態を定期的にチェックすることが有効です。

 

 

 

 

 当院でもバスケットの試合中に着地した際、相手の足の上に乗ってしまい足首を捻ったとのことで来院された方が見えました。

 

 

捻挫の痛みとは違う感じがするとのことで超音波エコーで確認してみると骨折が疑われたため医師へ紹介し、ジョーンズ骨折の診断でした。

 

 

ジョーンズ骨

 

 

 

 

 骨折場所によりZONEⅠ、Ⅱ、Ⅲと分類され、その中でもⅡとⅢをまとめてジョーンズ骨折といいます。

 ZONEⅡでの骨折は一回の外力で骨折することが多く、ZONEⅢでの骨折は繰り返しのストレスにより疲労性骨折を起こすことが多いです。

 

 

このZONEⅡ、Ⅲの場所の骨折は難治性であり、再骨折や骨癒合が得られないこともあるため基本的には手術によりワイヤーやスクリュー固定を行います。

 

 

しかし手術をしてリハビリを行い、満足にプレーできるようになるまで数か月かかってしまいます。

 

 

 当院で治療を行ったバスケットボール選手は、国体の試合が迫っていたため、再発の可能性をお伝えしたうえで手術はせず当院での治療を選択されました。

 

 

エコーで骨の癒合の経過を辿りながら、超音波治療(LIPUS)、酸素カプセルを行うとともに、ショックマスターによる体外衝撃波での治療を行い、試合までに復帰することができました。

 

 

 

 

 ⦅ショックマスター⦆

 

 

ジョーンズ骨折 </p>

<p>ジョーンズ骨折

 

 

⦅LIPUS⦆

 

 

ジョーンズ骨折

 

 

 

⦅酸素カプセル⦆

 

ジョーンズ骨折

受傷時  

〈6/26〉

 

ジョーンズ骨折

 

 

約一か月後

 

ジョーンズ骨折

 

 

仮骨が形成されています。

 

 

2か月後

 

ジョーンズ骨折

 

 

 骨癒合した様子が見られ、ドップラーの反応が残存しており治癒過程であることがわかります。

ドップラーの反応は圧痛と一致しておらず、このまま新生血管が残存することもあります。

 

 

  再発の可能性があるケガのため、超音波エコーで骨折部を定期的にチェックしながら現在も問題なくプレーされています。

当初の目的であった国体には間に合ったものの、残念ながら新型コロナウイルスの蔓延防止措置のため中止となってしまいました…  

 

 

 

 

 ご紹介したバスケットボール選手は手術をするか、保存療法で治すか迷われていましたが、手術をすると日程的にパフォーマンスが国体に間に合わない可能性が高いとご本人が判断され、当院での保存療法に一縷の望みを持って賭けました。

 

 

今回の例のようにショックマスターやLIPUSは早期回復への可能性を秘めたアプローチができ、保存療法で復帰を目指すことも選択肢の一つとなります。

 

 

当院では選手の状況や試合日程などを考慮し、できる限り要望に応えられるようにしております。  

 

 

 少しでも早期に回復したい方や、難治性の骨折でお悩みの方は一度ヤマモト整骨院へご相談ください。

 

 

 【参考文献】 ⁽¹⁾Miyamori T, Nagao M, Sawa R, et al. Playing football on artificial turf as a risk factor for fifth metatarsal stress fracture: a retrospective cohort study. BMJ Open 2019;9:e022864. doi:10.1136/ bmjopen-2018-022864

 

 

腰痛

 

 

●当院の施術を受ける前、どんな症状に悩んでいましたか?

骨折(第5中足骨)

6/28に受傷し、8/21の大会に出場する為には手術では間に合わない状況だった。

 

●施術を受けてみてどうでしたか?

・超音波治療(週5) ・体外衝撃波(週1)

・酸素カプセル(隔週)

非常に治りが早かった。体外衝撃波は強い痛みを伴うが効果は高く、1ケ月ほどでジョギングを再開できた。 手術では不可能だった大会の参加が可能な状態となった。

 

●もし施術を受けていなかったら、今頃はどんな生活を送っていたと思いますか?

競技復帰が遅れ、3ヵ月~5か月の時間が必要だったと思う。

保存治療は経過に注意する必要があると思うが、今回の治療はベストだったと個人的に思う。

 

●お悩みの方へ、一言お願いします。

第5中足骨骨折された方にはぜひ受けてほしい治療と思いました。短期で復帰できました。 ただ再発の可能性が高い骨折なので長い目で焦らないことが一番だと思いました。

 

 

 

 

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根拠のある本物を学ぶ

カテゴリ: 学び

 

 

執筆者  山本幸治

 

当院は絶えず“学ぶこと”を怠りません。

 

医療は日進月歩で変化しています。
昨日の常識が今日の非常識になることさえもあり得ます。

 

医療の端くれを担う以上、“学ぶこと”は義務であると思っています。

そしてその“学ぶこと”も内容が非常に大切になってきます。

 

○○療法、○○手技など様々あります。
一回で全て治ります!何でも治します!なんてのもたくさんあります。

 

良いもの、そうでないもの、どこで判断したら良いのでしょう?


そこに根拠があるかないか、それに尽きるのではないでしょうか。

 

根拠のある本物を学ぶ
 

(株)運動器機能解剖学研究所。
 

膝

 

 

運動器治療を志すものであれば知らないものは居ないはず、林典雄先生(理学療法士)の研究所です。


確かな解剖生理学の知識と学術に裏付けられた手技は本物です。
開催されているセミナーは2年待ちで、北は北海道から南は沖縄まで泊りがけで学びにみえます。


多くの医師からも一目置かれ、整形外科ドクターも学びにみえます。
当院も度々研修させていただいております。
少しでも多くの患者様を救うために。。。

 

 

膝

 

 

 

 

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なんでも筋肉の炎症!? 野球肘 中学生編

カテゴリ: 野球肩 野球肘

執筆者  山本幸治

 

 

先日、「なんでも筋肉の炎症!? 野球肘 小学生編」をお話しました。

 


今日は中学生編です。

 


中学生になってくると、個人差はありますが上腕骨内側上顆の骨端線は閉鎖し大人の骨になってきます。
そうすると肘内側部での脆弱部位というのも変化してきて、同じ内側部の痛みでも中学生になると損傷部位はやや違ってきます。

 

 

野球肘

 

 

中学生になってくると、尺骨の鈎状結節にしばしば障害が発生するようになってきます。
しかしここがまたよく見逃されやすい場所でもあります。

 


前医で筋肉の炎症といわれ、1ヵ月投球中止にしていたけれど、投げ始めたらすぐに痛くて…といって来院される方多くいらっしゃいます。

 

 

程度の差はあれ、投げて投げられない痛みではないので、何度も繰り返し損傷を起こしていることを伺わせるケースもしばしば見受けられ、ひどくなると骨が隆々と隆起してしまっている子もいます。

 

 

小学生の上腕骨内側上顆の分離分節タイプより、やや時間は掛かる傾向はありますが、適切に対処、治療していけば、いたずらに長引かず治ってまいります。

 

 

尺骨鈎状結節部の状態を把握するのには超音波エコーが非常に有用となります。

 

 

エコー

 

 

なんでも炎症!とせずに的確に状態を把握し、治療にあたることが大切です。

 

 

 

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外側上顆炎?テニスしてないのにテニス肘?

カテゴリ: 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)

執筆者  門野隆顕

 

当院では肘の外側の痛みを訴えて来院される方が多くいます。

 

日常生活の中で手を使う際の何気ない動作や、物を持ち上げるときなどに痛みが出現し、徐々に強くなっていきます。

 

テニス選手やゴルフ選手などスポーツをしている人に多いですが、中にはテニスをしたことが無いのに病院でテニス肘と診断されたり、ネットで調べると症状が一致するなどで痛みが軽減せずに悩んで来院される方も少なくありません。

 

重いものを運ぶ動作や家事、デスクワークが多い人にもよく起こる症状で、必ずしもテニスをしているからなるわけではありません。

 

使用頻度の高い場所であり、我慢すると痛みが悪化していくため、早めに治療することをお勧めします。

 

 

テニス肘とは

 

腰痛

 

 

 

 

テニス肘とは上腕骨外側上顆炎のことを指します。

 

上腕骨の外側上顆という場所に付着している筋肉が収縮し何度もひっぱることで徐々に炎症が起こり、慢性的な障害になったものをテニス肘といいます。

 

テニス肘

 

肘の外側には短橈側手根伸筋、長橈側手根伸筋、総指伸筋という3つの筋肉があります。

手を使う動作により何度も牽引されることで炎症が起き、テニス肘となります。

 

昔のテニスはバックハンドを片手で打つことが主流であり、その際に過度な負荷が外側上顆にかかり、痛める人が多かったことからこの名前が付きました。

 

また今のような高反発のラケットでなかったため、片手で強く打つ必要がありました。

 

現在は両手バックハンドが多くなり、ラケットパワーも向上したためテニス選手のテニス肘は以前より減少し、むしろ熟練者であれば内側(野球肘と言われる場所)に痛みが出ることも多いです。

ややこしいですが…

 

一般的な発生原因

 

外側上顆には物を持ちあげたり、雑巾を絞ったり、手首を反らせるときに使う筋肉が集まる場所となっているためフライパンを振る、買い物袋を手のひらを下にして持ち上げる、コップを持ち上げるなど普段からよく行う動作で負荷がかかり痛みが出ます。

 

さらに症状が進行するとペンで字を書くことやパソコンのキーボード操作、マウスのクリックなどでも強い痛みを感じるようになる場合もあります。

 

強い負荷に耐えられる筋肉でないため、繰り返し使うことにより筋肉や腱と骨の付着部に炎症が起こりテニス肘になります。

 

40歳以上の主婦にも発症率が高いことから、加齢による筋力の衰えや変性、性別などとの関連性も指摘されています。

 

テニス肘

 

 

当院の治療法

 

一番の治療法は手を使わないことです。

負担がなくなるわけですから最善の方法ですが、日常生活を送るうえではまず不可能です。

 

まずは日常の中のどんな動きで肘に負担をかけ、痛みを出しているか原因を探り、状況を把握してから治療を行います。

 

 

超音波エコーでの病態把握

 

 

超音波エコーで骨や筋肉、腱の損傷程度、ドップラーでの炎症反応を確認します。

 

 

「正常な肘のエコー」

 

 

テニス肘

 

 

濃い白色のラインが骨となります。左側は上腕骨、右側は橈骨です。

 

骨の上にある川のように流れている繊維が筋肉です。

これをフィブリラパターンといいます。

 

この正常な肘のエコーでは骨に損傷がなく、筋線維がきれいに描出されます。

 

骨が損傷されると表面に不整像が確認でき、筋肉が損傷されるとドップラーにより炎症反応がみられ、フィブリラパターン(筋線維)の消失が見られます。

 

 

「筋肉に損傷が見られる肘」

 

 

テニス肘 テニス肘

 

 

ドップラーによる筋肉の炎症反応が見られます。

 

赤くなっている所が炎症反応を起こし、血液を集めて治そうとしている場所です。

 

また健側に比べて患側の筋肉の幅が大きく、腫れていることが確認できます。

 

 

「骨に損傷が見られる肘」

 

 

テニス肘

 

 

この写真では筋肉の繰り返しの牽引力により、骨が剥がれて小さな白い欠片が見えます。

 

フィブリラパターンも消失しており、筋肉の損傷が確認できます。

 

エコーで病態をしっかり把握することで、どのように治療すべきかを決めることができます。

 

そして経過をたどりながら現状を確認し、治癒を目指します。

 

 

ハイボルテージ・超音波・コンビネーション治療

 

 

痛みの軽減や筋肉の緊張緩和、炎症症状の軽減に効果があります。

 

電気を深部組織に到達させ、負担をかけている筋肉の柔軟性を上げることで牽引力を低下させ、痛みを減少させます。

 

 

ショックウェーブ

 

 

テニス肘

 

 

痛みが長いこと続き、変化が少ないような慢性状態となっている場合はショックウェーブを行います。

 

慢性化した組織に刺激を与え、新生血管の再生を促し活性化させることで治癒を促進します。

 

また生活の中で負担になっている動きを修正し、ストレッチやトレーニングなど家で出来るケアをお伝えします。

 

 

伸筋群のストレッチ

 

 

肘を伸ばしたまま手の甲を反対の手で持って、手のひら側に曲げるようにして筋肉を伸ばします。

 

※痛みが強くならない程度に30秒行ってください。

 

伸筋群のトレーニング

 

 

テニス肘

 

 

テニス肘

 

 

テニス肘

 

 

膝の上に肘を置いて腕を安定させ、手首の位置を固定したまま行います。

 

おもりを持ち上げるときは反対の手でサポートし、力を入れないように背屈させます。

 

背屈させた状態からゆっくり手首を下ろし、力を入れてコントロールしながら筋肉を伸ばすトレーニングを行います。

 

外側上顆炎は負担がかかりやすく無意識に手を使ってしまうため難渋するケースが多いです。

 

痛みが出始めてから対処が早ければ早いほど、痛みの軽減も早くなります。

 

慢性化する前に治療を行い、家でのケアをお伝えして痛みのない日常生活を送れるようサポートします。

 

 

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投球フォーム改善指導

カテゴリ: 投球フォーム指導

作成者  山本幸治

 

 

小学5年生、投球時、肘が下がってしまいます。

 

 

 

 

投球時肘が下がると、肘内側部には牽引ストレスが、外側部には圧迫ストレスが過大となり、障害を起こしやすくなります。

 

 

野球肘

 

 

左右の肩を結んだライン(赤ライン)上に肘および前腕がきてほしいです。

 

 

本人は肘を挙げて投げているつもりです。

ほとんどの子が挙上筋力不足とリリース位置の認知のずれです。

 

 

実際に本人が投げている動画を見せて、自分のイメージしているものと、これだけ違っているということを理解してもらいます。

 

 

そして修正するときは極端に行います(下部動画)。

実際にはこのように肘をピンピンに伸展し投げることはありません、そしてボールや腕も挙がり過ぎていますが、腕の軌道やリリース位置を認知してもらうためにわざと極端におこなってもらいます。

 

 

 

 

 

 

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