1|シンスプリントとは何か?(病態と定義)
シンスプリントは、正式には Medial Tibial Stress Syndrome(MTSS) と呼ばれ、すね(脛骨)の内側に生
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1|シンスプリントとは何か?(病態と定義)
シンスプリントは、正式には Medial Tibial Stress Syndrome(MTSS) と呼ばれ、すね(脛骨)の内側に生じる痛みを特徴とした 運動誘発性の下腿痛 です。
痛みは通常、脛骨内側の中〜下部に沿って現れ、運動量や負荷が増すと悪化します。
MTSSは単なる筋肉痛ではなく、
・骨膜(骨を覆う膜)
・筋付着部
・結合組織
が繰り返しストレス(衝撃)を受けることで起こる ストレス障害 です。
この疾患は、ランニングやジャンプ動作を多用する競技で特によく見られ、下腿の運動負荷が高い競技者で発生頻度が高いことが多数の研究で示されています。
2|疫学:どれくらい起こるのか?
複数の臨床報告では、
・ランナーで 約13.6〜20% の発症率とされ、
・下肢障害の中でも 最も多い原因の1つ とされています。
この結果は、走行や跳躍などの繰り返し負荷が高い競技者ほど発症リスクが増すことを示しています。
3|リスク因子(論文ベース)
複数の研究・メタ解析で明らかになっているリスク因子を整理します。
✅ 内的(体の特性)
✔ 足関節背屈可動域の制限
✔ 下腿後面筋(ヒラメ筋・ふくらはぎ)の硬さや機能異常
✔ 先行ランニング傷害の既往
これらは、脛骨にかかるストレスを増やし、MTSS発症の確率を高めることが示されています。
✅ 外的(トレーニング・環境・用具)
✔ トレーニング量や運動負荷の急激な増加
✔ 路面が硬いグラウンド
✔ 不適切なシューズ・クッション性不足
こうした外的因子が累積ストレスを増加させることで、疼痛を誘発することが多いです。
4|病態メカニズム(研究からわかっていること)
MTSSの原因は単一ではなく多因子性です。
研究レビューでは、MTSSは
▶ 過度の衝撃負荷
▶ 骨・筋・結合組織への繰り返しストレス
の積み重ねによるストレス反応的な痛みと説明されています。
また、MTSS群では
・立脚時の足底圧分布の変化
・足関節の動きの違い
が観察されており、ランニングフォームや動的な負担のかかり方が関与している可能性が示されています。
これらは臨床的にも「単なる筋疲労」ではなく、
骨膜への繰り返しストレス負荷が主要な発痛機序であるという理解につながります。
5|診断(論文で示されていること)
MTSSの診断は、画像検査よりも 詳細な問診+身体所見の方が有用とされる研究もあります。
つまり:
✔ 痛みの場所
✔ 動作での痛みの再現性
✔ 他疾患(疲労骨折等)の除外
が診断の中心となります。
単なる検査だけで判断するのではなく、臨床的な評価が重要です。
6|治療・リハビリ(論文レビューの知見)
現時点の文献レビューでは
「これが最も正解」という単一治療法は確立されていません。
しかし:
🟢 ① 負荷管理(休息と段階的復帰)
・過度の衝撃を避ける
・痛みが出ない範囲から再開
が重要であることはどの研究でも一致しています。
🟢 ② 体の使い方・動作改善
・足関節の可動域の改善
・ふくらはぎの柔軟性向上
・着地の衝撃吸収の改善
これらはリスク因子として挙がった体の特性と一致します。
🟢 ③ シューズ・インソール
・足部荷重のバランスを改善することで
・脛骨ストレスが軽減したという報告もあります。
ただし「万能治療」ではなく、個々の動作評価と合わせることがポイントです。
7|再発予防と競技復帰の視点(研究+臨床)
論文では、繰り返し発生するMTSSは
▶ 足関節・股関節の機能不全
▶ 体幹の安定不足
▶ 再発時の運動負荷管理不足
が組み合わさっている可能性が示唆されています。
つまり:
局所の痛みだけでなく、全身の動作連鎖で評価し、負担を逃がせる身体を作ることが再発予防につながります。
結論(論文ベースでまとめ)
シンスプリント=Overuse pain(繰り返し負荷症候群)です。
発症には 内的/外的リスクが複合的に関わることが研究で示されています。
治療は単一手段ではなく、負荷管理+動作改善+フォーム評価が重要です。
【参考文献(References)】
・Deshmukh NS, et al. (2022). Medial Tibial Stress Syndrome: A Review Article.
・Bhusari N, et al. (2023). Shin Splint: A Review.
・Reinking MF, Austin TM, Richter RR, Krieger MM. (2016). Medial Tibial Stress Syndrome in Active Individuals: A Systematic Review and Meta-analysis of Risk Factors.
・Newman P., et al. (2013). Risk factors associated with medial tibial stress syndrome in runners.
・Menéndez C., Batalla L., Prieto A., et al. (2020). Medial Tibial Stress Syndrome in Novice and Recreational Runners. Int J Environ Res Public Health.
・McClure CJ & Oh R. (2023). Medial Tibial Stress Syndrome. StatPearls.
・S Bliekendaal, et al. (2018). Incidence and risk factors of MTSS. BMJ Open Sport Exerc Med.





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