四十肩・五十肩
【肩が上がらないのは四十肩?チェック方法と治療法】



【肩が上がらないのは四十肩?チェック方法と治療法】
〜放置すると長引く肩の痛み〜
■ 肩が上がらない…それは四十肩(五十肩)かもしれません
「服を着るときに肩が痛い」
「腕を上げようとすると途中で止まる」
「夜になると肩がズキズキする」
このような症状で来院される方の多くが、いわゆる 四十肩(五十肩) の状態にあります。
正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、年齢だけが原因ではなく、肩関節の機能低下が重なって起こる症状です。
■ 四十肩(五十肩)とはどんな状態?
四十肩は単なる筋肉痛ではありません。
主に次の3つが同時に起こっています。
① 肩関節の炎症
関節包や腱板周囲に炎症が起き、動かすと痛みが出ます。
② 関節の動きの低下(拘縮)
痛みを避けて動かさなくなることで、関節が固まり可動域が制限されます。
③ 肩甲骨の動きの低下
肩だけでなく、背中側の動きも悪くなり負担が増加します。
つまり、
「痛い → 動かさない → さらに固まる」
という悪循環が特徴です。
■ 四十肩(五十肩)セルフチェック方法
次の項目をチェックしてみてください。
✔ 腕を横から上げられるか
途中で痛みや引っかかりがある場合は要注意。
✔ 背中に手を回せるか
エプロンを結ぶ動きがつらい場合、可動域制限の可能性があります。
✔ 夜間痛があるか
夜寝ている時にズキズキ痛むのは四十肩に多い特徴です。
2つ以上当てはまる場合は、四十肩の可能性があります。
■ やってはいけない対処法
自己流のケアで悪化するケースも少なくありません。
❌ 痛みを我慢して動かす
炎症期に無理な運動をすると悪化します。
❌ 強く揉みすぎる
炎症を刺激し、夜間痛が強くなることがあります。
❌ 放置する
放置すると関節が固まり、回復まで1年以上かかることもあります。
■ 四十肩(五十肩)の経過(知らない人が多いポイント)
四十肩は段階的に進行します。
【炎症期】
強い痛み・夜間痛が出る時期
→ 安静と適切な施術が重要
【拘縮期】
痛みは減るが動きが悪い時期
→ 可動域改善が必要
【回復期】
少しずつ動きが戻る時期
→ 正しい運動が重要
状態に合わせた対応をしないと長期化します。
■ ヤマモト整骨院での評価と治療
当院では「四十肩=肩だけの問題」とは考えません。
以下を総合的に評価します。
・エコー検査による筋・腱の状態確認
・肩関節と肩甲骨の動作チェック
・姿勢・胸郭の可動性評価
・日常動作のクセ分析
そのうえで、
✔ 炎症を悪化させない施術
✔ 可動域改善アプローチ
✔ 自宅でできる段階別エクササイズ指導
を行い、早期改善と再発予防を目指します。
■ 自宅でできる初期セルフケア
※強い痛みがない場合のみ行いましょう。
● 振り子運動(ペンデュラム)
前かがみになり腕を力を抜いて小さく揺らす
→ 関節への負担が少なく動かせます。
● 肩甲骨を軽く動かす運動
肩をすくめてストンと落とす動作を10回。
「痛みゼロ〜軽度」の範囲で行うのがポイントです。
■ こんな方は早めの相談をおすすめします
・肩が90°以上上がらない
・夜間痛で眠れない
・1ヶ月以上改善しない
・反対側も経験したことがある
早期に適切な対応をすると、回復期間は大きく変わります。
■ まとめ
肩が上がらない原因は、単なる肩こりではなく
・関節の炎症
・可動域制限
・肩甲骨の機能低下
が組み合わさった四十肩の可能性があります。
「そのうち治る」と放置せず、原因を理解して適切にケアすることが大切です。
気になる症状がある方は、お気軽にヤマモト整骨院までご相談ください。
③五十肩の施術のポイントは血流 運動編
作成者 山本幸治
当院で五十肩の患者さんに対して血流を良くする方法3つ目です。
それはズバリ運動です。
寝てても肩が痛いときにどうやって運動するのだ、動かしたら余計に痛くなるだろと思われるのも当然です。
もちろん炎症時期の急激に痛い患部を動かして良いわけではありません。
患部外の運動をすることによって患部の血流も良くなります。
慢性拘縮期に入っている患部はドンドン動かして良いです。
五十肩はそのステージを見極め施術を行っていくことが重要です。
②五十肩の施術のポイントは血流 駆血療法(RIC)編
執筆者 山本幸治
当院では五十肩には血流が大きく関与していると考えています。
そこで3回に分けて当院での血流を良くする施術を紹介しております。
今回はその2回目、駆血療法です(1回目のスーパーライザー編はこちら)。
当院の駆血療法はMCCを用いております。
MCCとは、Multi Cuff Care(マルチカフケア)の略称で、以下の二つの機能を持つ装置です。
駆血療法(RIC)と低酸素トレーニング(MCT)が行えます。
開発者は整形外科医 福田博司Dr(ふく田整形外科、愛知県)です。
*ふく田整形外科では10数台ものMCC機械が置かれ、毎日、患者さんが所狭しとRICや低酸素トレーニングを行っています。

(ふく田整形外科外観)

(ふく田整形外科リハ室)
駆血療法(RIC)とは
RIC (Regional & Remote Ischemic Conditioning)
腕や脚の血流を一時的に止めたあと開放(駆血と再灌流)することで、その後の血行を改善させます。
専用カフを脚部に巻きつけ加圧。10秒以内にセンサーカフが適正圧を把握し、予め設定した時間内(例;1分・加圧、30秒・除圧、3セット)にRICを行うことで、血行を著しく改善させます。血行不順で発症する様々な症状に効果があります。

RIC効果のメカニズム
1)体液性物質の分泌による冠状動脈の拡張作用
2)交換神経緊張による(カテコールアミンの分泌)筋肉内の毛細血管の拡張作用
3)四肢の血流改善による患部の修復作用
4)身体の一部が低酸素状態になると、内因性の防護システムがスイッチオンして、各疾患部位の修復作用が賦活する作用
駆血(RIC)に関しては、数多くの研究(参照)がなされています。
整形外科領域のみならず、心筋梗塞、腎疾患、脳梗塞等に対して非侵襲的な治療法として簡便で、また安全性も高い方法であるといわれています。
また、疾患の治療以外にも、スポーツの分野でのトレーニング前のウォーミングアップ、運動のできない高齢者やサラリーマン、OL、その他運動をしたい人、運動の苦手な人に対して、交感神経の緊張をもたらすので、運動実施と同様な効果がもたらされ、健康維持向上に有効であるといわれています。
(参照)
・Gerd Heusch., Hans Erik Bøtker et al; Remote Ischemic Conditioning. J Am Coll Cardiol. 2015 Jan, 65 (2) 177–195
・Niteen Tapuria M.S., F.R.C.S., Yogesh Kumar M.S., M.R.C.S et al; Remote Ischemic Preconditioning: A Novel Protective Method From Ischemia Reperfusion Injury—A Review. JSR. 2008 Dec, 150(2) 304-330
・Karin Przyklenk., Peter Whittaker et al; Remote Ischemic Preconditioning: Current Knowledge, Unresolved Questions, and Future Priorities. Journal of Cardiovascular Pharmacology and Therapeutics. 2016 dec
①五十肩の施術のポイントは血流 スーパーライザー編
執筆者 山本幸治
当院では五十肩には血流が大きく関与していると考えています。
そこでこれから3回に分けて当院での血流を良くする施術を紹介してまいります。
五十肩の初期、急性期には非常に強烈な夜間痛が発生することが多くあります。
夜間痛は安眠を妨げ、睡眠不足になることでより一層の症状の悪化も招きます。
以前のブログでもお話ししましたが、夜間痛には自律神経が大きく関与するといわれています。
皆さんがストレスを受けると、自律神経の中の交感神経が興奮し血管を縮めます。血管が縮まると、酸素や栄養素を運ぶ血液の流れが悪くなり、様々な痛みや体の変調を訴えるようになります。
特に副交感神経が優位に立っていないといけない夜間に交感神経が優位に立ってしまうため夜間痛が発生します。
夜間痛の発生時には自律神経のバランスが乱れ、交感神経が過緊張状態となっているといわれています。
そこで当院では四十肩・五十肩の施術において局所の肩の施術と共にスーパーライザー(近赤外線治療器)を活用しています。
交感神経過緊張状態への治療のひとつに星状神経節ブロック療法というものがあります。
この療法は、首にある交感神経節に局所麻酔薬を注入する治療法で、局所麻酔薬で交感神経を遮断することで、頭・首・顔・肩・腕・手・胸・背中への血流を良くし、痛みを和らげる、筋肉の緊張をほぐすなどの効果があるとされており、ペインクリニックで多く行われています。
もちろん我々はお医者さんではありませんから、より直接的な星状神経節ブロックなどは行えません。
星状神経節近傍照射療法という療法があります。
星状神経節近傍照射療法はスーパーライザーで頚部にある星状神経節を照射し交感神経を鎮静化させます。
(星状神経節近傍照射)
ペインクリニックや耳鼻咽喉科でも多く採用されており、こちらの方が体への侵襲は無く、安全性も高いため、ドクターでもこちらの方を多く使用される先生もいらっしゃいます。
当院でも中々改善されなかった急性の五十肩の痛みや夜間痛がこのスーパーライザーの星状神経節近傍照射によって改善されることもしばしば目にいたしております。
写真をみると喉に突き刺され一見怖いように感じるかもしれませんが、作用は非常にマイルドで尚且つ照射中も痛みは無くほとんど何も感じません^^
中々治らない四十肩・五十肩でお悩みの方は、もしかしたら活路が見出せるかもしれませんよ。
是非一度お試しくださいませ。
手が後ろに回らない五十肩の特徴的な症状と対策

五十肩になるとほとんどの方が手を後ろに回すことが出来ません。この動作を結滞動作といい、読んで字の如く「背中で着物の帯を結ぶ動き」のことを言います。ズボンの後ろポケットにモノを入れるとき、シートベルトを着けるとき、更衣動作、とくに女性は下着の脱着に苦労するという訴えを多く聞きます。今回は厄介な“結滞動作“のエクササイズをお伝えします。
この結滞動作は炎症期では当然痛みが強いためできませんが、痛みが弱くなる凍結期や解凍期になっても可動域制限は残存することがほとんどです。一旦制限が起こると改善が難しかったり、改善までに長期にわたり治療を継続することが必要になったりします。
これは結滞動作が肩関節の複合動作によって行われており、筋の柔軟性や筋力の発揮が正しく必要分しっかりと発揮されることも必要になるためです。
日常に欠かせない動きである結滞動作を制限されるのは大きなストレスです。なかなか簡単に動きを改善することはできないですが、これから紹介する方法をやってみて下さい。
結滞動作で問題となるのは肩関節の内旋運動と肩甲骨の下方回旋運動です。
(肩関節内旋制限)
肩関節の内旋制限は、肩甲骨後面に付着する棘下筋や小円筋が主な制限因子とも言われています。筋肉の滑走性や脂肪体という筋肉を動きやすくするクッション材との癒着により動きが悪くなっているため、少しずつ動かすトレーニングを行います。
棘下筋・小円筋トレ
うつぶせでベッドに上半身と腕をつけます。肘を曲げ、写真のように肘を支点に前腕を浮かせるようにして外旋運動を行います。困難であれば、座位で行うなど挙上角度を下げて行うと行いやすくなります。
(肩甲骨下方回旋)
肩甲骨の下方回旋の制限は、僧帽筋上部線維や鍵鏡と言われる左右の僧帽筋をつなぐ役割をする組織が制限になります。僧帽筋上部線維の機能を正常にし、下部線維の収縮を促すよう動かします。
後方腕組み
片方の腕を後内側へ引っ張るように伸展・内転させていきます。痛みが強い場合は手首を持ったり、体の前方で行います。僧帽筋上部線維、棘下筋のストレッチ、肩甲骨下方回旋の誘導を行います。
背中丸め
手の甲を腰に当て、体を前へ倒しながら肘を前方へ突き出すようにしてストレッチングを行います。棘上筋、棘下筋、菱形筋群のストレッチングとして行います。
最初は痛みが強い場合もあるので、できる範囲で無理の無いよう行ってください。五十肩でお悩みの方は一度ヤマモト整骨院までお問い合わせください。
四十肩、五十肩は関節に何は起こっている?
近年では画像診断の発達により病態を診断できるものが増えましたが、それでも痛みの原因がはっきりしないものも多くあります。
今回はその“原因がはっきりしない四十肩、五十肩”について現時点の研究で分かっていることを説明したいと思います。
四十肩、五十肩になると肩が動かせない、上がらないなど正常な範囲で動かなくなってしまいますよね。この状態のことを「拘縮」といい、これは主に“関節包”という場所に起こります。
肩関節を覆っている関節包が拘縮すれば、当然肩の動きが悪くなってしまいます。
また関節包以外にも関節を覆っている烏口上腕靭帯や腱板疎部という場所があり、ここにも病変が起こりやすく、ここの動きを制限されると特に腕を外側に捻る外旋という動きで痛みが強くなり動かすことが出来なくなってきます。
(Thanks Complete Anatomy)
発症初期にはこの部位に血管新生や炎症反応、細胞接着などの病変が見られ、コルチゾル注射を行うと効果が高いと報告されています。
また手術を選択した際はここを切離することもある程くらい四十肩、五十肩と関わりが深い場所です。
しかし、発生機序については他にもさまざまな説があり、最新のエビデンスにおいてもなぜこのような場所に拘縮が起こるのか正確な原因はわかっていません。
それでも今現在の研究により考えられるいくつかの説を紹介します。
・機械的ストレス
普段の動きの中で身体にストレスを与えると細胞が傷つきます。ある程度は修復されますが、限度を超えると変性を起こすと言われています。
この変性は「線維芽細胞」という伸縮性のない細胞から「筋線維芽細胞」という収縮する細胞に変わることで過度に縮んでしまい、可動域制限や拘縮につながると考えられています。
・細胞外基質(マトリックス)の周期回転異常
先ほど解説した線維芽細胞は細胞外基質のコラーゲンというものを生成します。
このコラーゲン生成の周期はMatrix Metallo Proteinases (MMPs)とTissue Inhibitor of Metallo Proteinases (TIMPs)という酵素によって管理されています。
MMPsは簡単に言うと余分なコラーゲンを溶かす役割で、TIMPsはMMPsの働きを抑制する役割を担っています。つまりこの二つの酵素がバランスを取りあうことでコラーゲンの生成、恒常性を保っています。
しかし、何らかの原因により二つの酵素のバランスが崩れるとコラーゲンの線維化を進行させるとされています。そして、徐々に関節包が拘縮していくことに繋がります。
・低程度の慢性炎症
四十肩、五十肩の患者の関節包では細胞の接着分子であるICAM-1やリポ蛋白(α)というものの数値が高くなることが確認されており、低程度の慢性炎症に関わる化学物質が線維芽細胞を筋線維芽細胞に変性するトリガーになると考えられています。
そして慢性炎症と関わりが深い糖尿病や甲状腺疾患を持っている人は四十肩、五十肩の生涯発症率が非常に高くなります。そのデータとして一般人の四十肩、五十肩の生涯発症率は2-5%ですが、糖尿病患者では10-30%にまで上昇します。
さらに糖尿病患者では加齢や高血糖に伴って病変を誘発する化合物(AGES)が活発になり、これに伴い前述したTIMPsの働きを抑制し細胞外基質のサイクルにも悪影響をもたらします。
そのため糖尿病患者の予後は不良になります。
このように痛みが出ている場所だけを治療していてもよくならない場合があることはわかっていただけたと思います。
四十肩、五十肩の発生機序はシンプルではなく複雑です。そして、未だに全て解明されていません。
糖尿病のリスクとなりうるような乱れたライフスタイルは身体の恒常性に影響を及ぼし、慢性炎症のトリガーになる可能性があります。
身体が慢性炎症状態であれば肩の治療をしたとしても痛みが取れづらい可能性があります。
そのため当院では肩の治療はもちろん、運動療法や栄養療法で痛みを強くしている様々な因子に対してトータルで治療を行い、痛みを改善できるよう様々なアプローチで治療を行います。
現時点で言えることは慢性炎症が発生機序、または疾患の進行に関わっている可能性が高いということです。
そのため、単なる肩関節の拘縮と捉えるのではなく、他に生活習慣なども関わってくることを認識していくことが大切になりそうですね。
【参考文献】
T Kraal, J Lübbers, M P J van den Bekerom, J Alessie, Y van Kooyk, D Eygendaal, R C T Koorevaar. The puzzling pathophysiology of frozen shoulders – a scoping review. J Exp Orthop. 2020 Nov 18;7(1):91.
四十肩、五十肩の夜間痛の理由と対策
四十肩、五十肩の代表的な症状の一つに夜間痛があります。
多くの患者さんが訴える症状で、痛みで夜中に目が覚めてしまう、横になってすぐ痛みが強くなり寝られないなどの話もよく聞きます。
しかし、なぜ寝ている間は肩を動かしていないにも関わらず痛みが強くなるか不思議に思ったことはありませんか?
今回はその理由と痛みを軽減させる方法をお伝えします。
そもそも寝られないとどんな影響がある?
四十肩、五十肩の特徴的な症状のひとつに夜間痛があると言いましたが、そもそも寝られないことは痛みが強くなることにつながるのか?という疑問があると思います。
これは寝られないことにより交感神経が優位となります。
交感神経が優位になると体が緊張した状態になり、血管や筋肉が緊張して血行が悪い状態になってしまい痛みが増します。
せっかく体を休める時間なのに痛みで睡眠不足になり、交感神経が優位となることで痛みがさらに強くなるという悪いサイクルになってしまうため、睡眠は必要ということです。
【なぜ安静にしているのに痛くなるの?】
炎症が起きている肩を上に挙げたり、動かせば痛くなるのは当然ですが、安静にして寝ているのに痛みが強くなるのはなぜでしょうか?
これは肩の内圧の上昇が関係しています。

このように仰向けで寝ると肘が下がり、肩は上に突きあげられるような方向に力がかかります。
そうすると肩の圧力が高くなり、ストレスとなって痛みが強くなるということです。
また山本ら(2003)による患側下側臥位、仰臥位、立位で肩峰下関節包圧を計測したデータ(山本宣幸ほか:腱板断裂患者の夜間痛について−アンケート調査ならびに肩峰下滑液包の圧測定−:肩関節,27巻 第2巻,259−262,2003)によると
・第一位 患側下側臥位
・第二位 仰臥位
・第三位 立位
でした。
第一位の患側下側臥位は痛い方を下にして寝るということであり、この姿勢が痛いのは理解できると思います。
しかしその次に痛くなる姿勢が仰臥位、つまり仰向けで寝る姿勢となっています。
いかに寝るときの姿勢や肩のポジションを正しくし、肩の圧力を下げられるかが重要ということです。
『寝るときのポジション』
・肩より肘が高くなっていること
・少し脇の空間をあけること
・手はお腹の上に置かずクッションなどの上に置くこと
このポジションを取ることで肩の内圧が上がることを防ぎ、睡眠がとりやすくなります。
写真を参考に寝るときの腕のポジションに気を付けてくださいね。
四十肩、五十肩の炎症期にやるべきこと
前回は画像診断装置の発達により今までわからなかった肩の痛みを烏口突起炎、上腕二頭筋長頭腱炎、肩峰下滑液包炎、腱板炎、石灰沈着性腱板炎など様々な病態に分けて診断できるようになってきたと説明しました。
しかし、それでもなおはっきりとした原因が分からない四十肩、五十肩に悩む人が多くいます。
ほとんどの四十肩、五十肩は炎症期→拘縮期→回復期といった経過を辿り治癒に向かいますが、今回は「炎症期」にやるべきことを説明します。
炎症期に何をすればいい?
肩の痛みで悩んでいると動かしたほうがいいと言われたり、動かさないほうがいいと言われたり…どうしていいのかわからないという声をよく耳にします。
これは病期によって対処法が異なるためであり、状況によりやるべきことが変わるからです。
炎症期のほとんどの方が口にされるのが
・少し動かそうとしただけでも強い痛みがある…
・寝ようとしても痛みが強くて寝れない…
・洗濯物が干せない、高い場所のものが取れない、下着をつけられないなど日常生活で不自由なことが多く、ストレスがたまる…
など
普段は何でもないようなちょっとしたことでも強い痛みが出ると、ストレスから心の余裕もなくなってしまいますよね。
しかし、何もしないより少しでも動かすほうが改善が早くなったり、痛みをコントロールできるということがわかっています。
炎症期に推奨されていること
患者さん自身が肩の状況と痛みを正しく理解すること、そして痛みを伴わない範囲での関節可動域練習や運動療法、家でのセルフケアが効果的と言われています。
何もわからないままだといつ痛みが消えるのか先が見えず、不安ばかりが大きくなることもありますよね。
大切なことは現在の状況を理解して、今後どのように痛みが変化するのか知ること。そして治療とともにできる範囲の運動やストレッチを行うことです。
痛みが強すぎて何もできないという方
肩の痛みが長く続いている方は神経が敏感になることで、わずかな刺激も激痛に感じてしまう状態になっている可能性があります。これを末梢性・中枢性神経感作*といいます。
(*中枢性感作とは、脳や末梢神経が痛みに敏感になっている状態。つまり通常では痛みを感じないような僅かな刺激でも痛みを感じてしまう状態。)
このような状態の方は関節を動かすなんて考えられないと思うかもしれませんが、こんな場合でも運動療法、全身運動が効果的である(EIH)と多く報告されています。
※Exercise-induced-hypoalgesia(EIH)
“運動中または運動後に侵害刺激に対する痛覚閾値・耐性値の増加、または痛覚強度の減少を特徴とし、痛覚感受性が減弱する現象”
(松原貴子:EIHについて:ペインリハビリテーションの観点から.ペインクリニック 38 : 601-608,2017.)
(松原貴子: 運動による疼痛抑制の神経メカニズム.ペインクリニック 35 : 16555-1661,2014.)
またEIHに関して
罹患部と離れた遠隔部での運動においても罹患部の痛覚感受性を低下させることも知られています。
具体的な運動療法としては、肩関節を動かさずに肩の近くの肘や肩甲骨、胸椎から動かし始めます。
肩関節を無理に動かしてしまうと炎症が強くなり、更に神経も過敏になってしまうため必要以上に焦らず状況を見ながら運動療法を行うのです。
更に、肩周囲から遠く離れた場所の運動でも痛覚感受性を低下させることも報告されているため、肩が動かせないような強い炎症期でもウォーキングやエアロバイクなど、患部に影響の少ない場所の運動を行うことで痛みを軽減できる効果があると考えられます。
未だに著効を示す治療法はありませんが今回紹介した方法で痛みを理解してコントロールし、根気よく治療していくことが今できる最善の方法と考えています。
当院では超音波エコーで肩の状態を確認し、手技療法や運動療法に加え、電療、超音波治療、体外衝撃波などを状況に合わせて行い、多角的にアプローチしています。肩の痛みでお悩みの方は一度ご相談ください。
最後に家でできるストレッチをご紹介します。無理のない程度にやってみて下さいね。
四つ這いで手を床につけ肩を安定させます。
手と膝を床につけたまま体を少しずつ前後させ、肩をゆっくり動かすようにします。(可能ならハイハイもおすすめです)
無理に大きく動かさず、痛みの出ない範囲で動いてみてください。
四十肩、五十肩って結局なに?
四十肩、五十肩で悩んでいる方は多いと思います。この世代に発症することが多く、どちらも違いはありません。
また肩関節周囲炎といった呼び方をすることもありますが、あまりピンと来ないので四十肩、五十肩で浸透していますよね。
そして驚くことに、江戸時代からあるのだとか…
別名“長命病”とも言われていたそうです。
(https://www.canva.com/photos/MADarPOGgHA-shoulder-pain/)
当院でも肩の痛みを抱えてご来院される方が多くみえ、軽度な痛みから強い夜間痛、肩を後ろに回したり、全く動かせないような激痛まで程度は様々です。
定義としては
なにかしらの関節内炎症によって肩関節に強い痛みを生じ,次第に肩関節の可動域制限が生じていく後に,疾痛が軽減して拘縮だけが残り,そして拘縮も経過とともに改善していく
(出典:村木孝行. (2016). 肩関節周囲炎 理学療法診療ガイドライン. 理学療法学, 43(1), 67–72.)
しかし四十肩、五十肩って何を指しているのかわからないという方も多いのではないでしょうか?
骨・軟骨・靭帯・腱・滑液包や関節包などが老化して、肩の周囲の組織に炎症が起こることが原因と考えられていますが、現在もはっきりとした原因はわからないとされています。
しかし、画像診断が進歩したことで少しずつ痛みの原因が分かってきた部分もあります。
MRI・CT・超音波エコーを使い組織の異常を把握できるようになってきました。
(MRI Shoulder joint Magnetic resonance imaging (MRI) - Canva)
例えば
・烏口突起炎
・上腕二頭筋長頭腱炎
・肩峰下滑液包炎
・腱板炎
・石灰沈着性腱板炎
・肩関節拘縮
など
いままでは詳しく診断できなかったため、ざっくりとこの年代で肩の痛みは四十肩、五十肩だろうとされていましたが、いまではこのような細かい診断名が付くこともあります。
四十肩、五十肩の痛みの経過は大体決まっており、ほとんどがこのような経過を辿ります。
凍結進行期(freezing phase)→凍結期(frozen phase)→解凍期(thawing phase)
そして平均して1~2年で治るとされています。
つまり一人一人の肩の症状や痛みの状況によって、その時にやるべきことと避けるべきことが変わり、病期にあわせた治療や運動療法が必要となります。
次回は痛みの段階によりどんなことをすべきかを書こうと思います。
- 1
ブログ・目次
- 腰痛(7)
- 椎間板ヘルニア(4)
- 坐骨神経痛 梨状筋症候群(1)
- 腰部脊柱管狭窄症(3)
- 腰椎分離症(4)
- 変形性股関節症 臼蓋形成不全(1)
- 四十肩・五十肩(9)
- 石灰沈着性腱板炎(1)
- 肩こり 頚肩腕症候群 姿勢不良(1)
- 頚椎症性神経根症(1)
- 野球肩 野球肘(25)
- リトルリーガーズショルダー(1)
- 腱板損傷(2)
- 胸郭出口症候群(TOS) 野球(1)
- ベネット病変(骨棘)、投球障害肩(1)
- 変形性膝関節症(3)
- オスグッド(2)
- シンスプリント(2)
- 肘内障(1)
- 足底腱膜炎(足底筋膜炎)(1)
- 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)(2)
- ばね指(1)
- めまい メニエール病 良性発作性頭位めまい症(BPPV)(1)
- 橈骨遠位端骨折(コーレス骨折)(1)
- ジョーンズ骨折(1)
- イズリン病(Iselin、第5中足骨粗面) (1)
- 顎関節脱臼(1)
- 栄養(3)
- 低酸素トレーニング(加圧トレーニング)(2)
- 超音波骨折療法(LIPUS)(2)
- 体外衝撃波(2)
- 立体動態波 ハイボルテージ(1)
- スーパーライザー(2)
- 投球フォーム指導(38)
- パーソナルトレーニング(3)
- コンディショニングスペース(2)
- 酸素カプセル(6)
- トレーナー活動(7)
- 日本超音波骨軟組織学会(JSBM)(25)
- 東海野球傷害研究会(5)
- 健康管理士(3)
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(3)
- 特別施術(5)
- LPST(腰椎・骨盤安定化)プログラム(8)
- お役立ち情報(21)
- 学び(41)
- 野球(12)
- 大学院(6)
- 当院セミナー、勉強会、講師(9)
月別アーカイブ
受付・施術時間 (予約制)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 午前 | ○ | ○ | - | ○ | ○ | ○ | - |
| 午後 | ○ | ○ | - | ○ | ○ | ○ | - |
午前9:00~12:00
午後4:00~8:00
(土曜、日曜午後は7:00まで)
祝祭日施術有り。
(大型連休を除く)
休院日
水曜・日曜
所在地
〒502-0909岐阜県岐阜市
白菊町5-10
駐車場あり
058-297-1779

























